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『エンジニアの知的生産術』を読んだ
Aug 23, 2018
4 minutes read

西尾泰和『エンジニアの知的生産術』を読んだ。知的生産という分野については職業柄もともと興味があって、梅棹忠夫の『知的生産の技術』や安宅和人『イシューからはじめよ』などを読んではいたが、それを活用できているかと言うと、なかなか「具体的に何をするか」まで落とし込めていないことが多かった。本書でようやく実践を進められそうな気がしている。

本書が面白いのは、本の中で書かれていることを実践しながら著者が書き進めているという点だと思う。

例えば第7章『何を学ぶかを決めるには』では、「何を学ぶのが正しいのか」という質問を置く前に、「正しい」とはどういうことか考えてみましょうという形で始まり、科学と数学における「正しさ」の扱いを紐解くことから書かれている。これは本書第1章で言及されている、「ゴールは明確に」という方針に沿うものと解釈できる。

あなたは、ゴールがどこにあるかわからない、何キロ走ればよいのかわからないマラソンを完走できますか? やる気を維持できる人はまれでしょう。プログラミング言語の学習も同じことで、どこまで進んだら「マスターできた」という実感が得られるのか不明確です。これではやる気の維持が困難です。やる気を維持するためには、ゴールは明確なものにする必要があります。

この箇所に限らず、本書には曖昧な記述を極力減らし、具体的な定義と事例、参考文献に基づいた論を進めようという節が読み取れる。その点において信頼ができ、また本書を読み進めるなかで「なるほど、知的にアウトプットを作り上げるとはこういう過程を言うのか」と納得することができる。

本書から学び、実践しようと取り入れ始めたことはいくつかあるが、特にインプットを増やすべきであるという姿勢は積極的に真似したいと思った。具体的には、よく知られる「知的生産術」であるKJ法を実践するにあたっては、まずは100枚材料となる付箋を作りましょう、と説く。少なくとも50枚に辿り着かないようでは、明らかにインプット不足であると。そして集めた付箋をグループ分けしていくわけだが、重複があったり、似ているものがあったりしても良いのだという。

共通点は何か、違いは何か、と考えるきっかけになります。第2章でも説明したように、似ているが少し違うものの比較は、理解を組み立てる助けになります。

本書で紹介されるメソッドには、KJ法をはじめGTDやYAGNI原則、ポモドーロ・テクニックなど、見知ったものも多く、読み飛ばしそうになったこともあった。でも、他の本の記述とまったく同じわけではない。そうであるならば、「共通点は何か、違いは何か」ということから、学べることはあるはずだ。まずはインプットをとにかく増やす。そして個々の材料をじっくり比べてみる。何が有用か、という判断は、それからで良いのである。インプットを増やし、またそれを頭の中だけでごちゃごちゃと考えるのではなくて、付箋なり Scrapbox なりにきちんと書き下して考えていくこと。そういった姿勢は自分には足りていないものだった。

ところで、著者の西尾氏は Scrapbox をパブリックで書いていて、本書が出る以前から参考にさせてもらっているのだが、そこに本書の公式ページなるものも開かれているので、読まれる際は是非こちらも参照することをオススメしたい。 Scrapbox について本書内での言及はなかったけれど、知を書き下して、関連させて、ボトムアップ式に知的生産を図るには打ってつけのツールだと思っている。


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