読書用に Likebook Ares という電子ペーパー Android を買った

Image from Gyazo

読書するときはカラーの画面ではなくて刺激が少ない電子ペーパーを使いたい派なので、もっぱら Kindle Paperwhite を使っていた。この端末には概ね満足していたのだが、残念ながら弱点がないわけではない。「お前は一体何を言っているんだ」と思われそう(実際言われた)が、まず Kindle 以外の電子書籍は読めない。DRMフリーの電子書籍ファイルなら読むことも可能だが、ファイルを Kindle へ送るにはメールに添付して送信するという旧態依然とした手段を取る必要がある。また Software Design のような図表の多い PDF だと、ページめくりの速度がかなり重く、実用には適さなかった。

つまるところ Kindle に限らずあらゆる電子書籍を電子ペーパーで読みたいのである。ということを数年来ぼんやりと考えてはいたのだが、この何年かで Android を積んだ電子ペーパーの類がいくつか出ているということを最近知った。そして検討の結果 Likebook Ares という端末を購入してみた。

電子ペーパー Android の選択肢

言うまでもないのだがニッチ分野であり、選択肢は多くない。見たところ僕が買った Boyue というメーカーの Likebook というシリーズと、もうひとつ Onyx の BOOX というシリーズのほぼ二択に絞られる。いずれも中国のメーカーで時代を感じる。

正直性能面での違いはカタログ上だとあまり感じなかった。 Likebook を買ったのは値段が数千円安かったというただそれだけの理由である。 BOOX に利があるとすれば、東京都内のビックカメラであれば現物展示している店舗がいくつかあるので、実際に触って買えることだろうか。ビックカメラの在庫検索で確認ができる。

Likebook Ares vs Kindle Paperwhite

実のところ1日しかまだ触っていないのだが、その上で率直なところ Kindle はよく出来ていると感じた。

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※ 写っている本文は『ビット・プレイヤー』(グレッグ・イーガン, 山岸真 訳, 早川書房, 2019)

だいたい同じ大きさのフォントで Likebook と Kindle Paperwhite 双方を表示して並べてみると、明らかに Kindle のほうが読みやすい。とはいえこれは Likebook が悪いというわけでもない。僕がかなり小さなフォントで読むのが好きだという関係上、いずれもフォントサイズは最小にしている。すると当然の如く字は掠れやすくなってしまうのだが、 Kidnle にはフォントの「太さ」を調節する昨日があるため、小さくてもくっきりとした文字で読みやすくなるという次第。 Likebook では Kindle の Android アプリで表示しているわけだが、このアプリでは太さ調節はできないので、どうしても見やすさには限界がある。

Kindle Paperwhite はきちんと読書用にチューニングされた端末なのだ、というのがこれで初めて理解できた。 Android の読書アプリはカラー画面での表示を前提に作られているから、電子ペーパーでは読みづらい可能性があるというのを受け入れなくてはならない。 Android 電子ペーパーならどんなアプリでも読めてウハウハじゃん、というわけでもなかったのだ。

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ちなみに英語はわりと Likebook でも読みやすい。これは O'Reilly Online Learning のアプリで『Cloud Native Devops with Kubernetes』(Justin Domingus, John Arundel, O'Reilly Media Inc., 2019) を読んでみたところだが、日本語ほど線が細い印象はない。単純に自体の問題だとは思う。

Pros

とはいえ使い物にならないというレベルではないし、明らかな利点も多い。

電子書籍アプリは概ね問題なく動く

Kindle と O'Reilly のほかに Google Play Books も試したが、いずれも概ね問題なく動く。ということで「あらゆる電子書籍を電子ペーパーで読みたい」という願いは達成できそう。

「概ね」と言っているのは、挙動の面でもやはり Kindle のほうがストレスレスに感じることも少なくないため。PDF で動作が重いということもなく、 Likebook のほうが全体的にするするとは動くのだが、なぜかストレスがたまにある。これはなんかもう言語化できない感覚的なものであって、慣れれば気にならなくなるとは思っている。

端子が USB Type-C

Kindle Paperwhite は2018年発売の最新モデルでも microUSB で、日常的に使うガジェットではほぼこいつだけ microUSB で少しだけ困っている。その点 Likebook は Type-C である。

SD カードに対応している

つまり容量の拡張ができる。まぁ Kindle Paperwhite でも容量に困ったことはないのだけど、拡張可能であるに越したことはない。

Cons

先のフォントの問題以外で感じるのは以下あたり。

文字入力の精度が悪い

デフォルトで Android キーボードという QWERTY のタッチキーボードが使えるのだが、精度がよろしくない。通常の状態と、数字や記号が入力できる状態を切り替えて使うことがよくあるが、切替ボタンを押した際のタッチ判定が切替後まで残ってしまって、切替後のボタンが誤タッチされてしまう。

Google 日本語入力のような他のキーボードが入れられるのかはまだ試していないが、タッチ判定の問題とすればハードウェアの問題なので、改善はしないだろうと予想している。

アプリの切り替えは遅い

ひとつのアプリを使っている分には、動作速度は Kindle Paperwhite と同等か、多少速いかなぐらい。しかしアプリの切り替えは遅い。起動も遅い。メモリが足りていない感覚がある。

総評

概ね悪くない。が、文字掠れの問題で嫌気が差したら Kindle Paperwhite に戻るかもしれない。とりあえずしばらくは使ってみたい。

この「文字掠れ問題」は BOOX など他の端末に移行したところで解消は難しそうなので、結局のところ Kindle でもっと簡単に epub 読めるようになるのが最善の道だろうということがわかった。